まず著者は今や日本を代表する世界的にも有名な数学基礎論学者です。新井さんは竹内外史さんの業績を引き継いでさらに精緻に証明論理の研究を推進しています。第二階の解析学の部分体系であるΠ1-1C A(竹内外史さんが有限の立場の拡張から無矛盾性証明をしました。)をさらに広げたΣ1-2C Aを弱い公理的集合論や順序数論と結びつけて分析し無矛盾性証明に当たるものを示しました。さて本の感想ですが、論理を駆使した見通しの良さに圧倒されました。徹底的に根本から集合位相を分析した感があります。まず目を見張るところは選択公理関連のところで同値な命題のバリエーションは色々ありますがそれを随所に取り入れて自在に論を進めていくところと圏論的見地からの始位相や終位相を取り入れて直積位相や商位相を導入していくところ(他の本に比して非常に詳しい)や不動点定理をうまく論理的に使うところ等他の本にはなくまさに研究者の書いた本という感がします。ただ分離公理以降やウリゾーンの距離化など紙数の関係であまり書かれていないのが残念です。いずれにしても読み応えがある力作ですね。