小林真平著「曲面とベクトル解析」(日本評論社)

この本は理論と計算や具体例が程よくミックスされていてそんなに行間もなく非常に読みやすく読後の達成感が十分味わえる良書です。第1章ベクトルと微分積分の基礎基本は2章以後に必要な基礎をまとめて付録と共に余計なことなくまとまっています。第2章曲線,第3章曲面は説明が平易でわかりやすく整理されています。第4章ベクトル場とその演算はdiv,grad,rot及びそれらに纏わる公式が難なくまとまっていて計算しやすいです。第5章ベクトル場の積分は線積分,面積分,積分定理のアウトラインが要領よく書かれています。第6章ベクトル解析と物理学はスカラーポテンシャルとエネルギー保存則,ベクトルポテンシャルとビオ-サバールの法則,質量保存則とガウスの発散定理,電磁気学とマクスウェルの方程式と数学と物理学を平行に解説し非常に魅力的でこの本の真骨頂です。第7章双対空間と微分形式は適度に抽象的かつ具体的で第8章外微分とベクトル場にうまく繋がりホッジのスター作用素がわかりやすく説明されています。ポアンカレの補題やマクスウェルの方程式を微分形式で与えています。第9章積分定理の証明のアウトライン第10章曲面の幾何は閉曲面のオイラー標数とベクトル場の指数,ガウス-ボンネの定理とポアンカレ-ホップの指数定理を少し雑ながら与えていて直感的に面白いです。第1,2構造方程式,ガウスの驚異の定理,hairy ballの定理でしめ大満足